東京, 2026年8月18日 - (JCN Newswire) - 人工知能(AI)の進化によって企業の生産性が加速・向上する中、AIに対する「盲目的な信頼」と検証不足がもたらす危険性をKasperskyのリサーチャーが明らかにしました。また、サイバー攻撃者が脆弱性を悪用するのではなく、「信頼」そのものに付け込んで攻撃を仕掛ける実態についても解説しています。

Kasperskyのグローバル調査分析チーム(GReAT)でセキュリティリサーチャーを務めるリュウ・ソジュン(Sojun Ryu)は、次のように警鐘を鳴らしています。「AIはこの数年で驚異的なペースで進化してきました。初期の頃、AIはコンテンツの生成や要約、下書き作成を行うツールという形を取っていました。次の段階では、AIをワークフローの中に直接組み込んで、ユーザーの作業を支援したり、提案やガイダンスを提供したりする副操縦士としての役割を果たすAIが登場しました。そして今では、自ら計画を立て、ツールを利用し、APIを呼び出し、自律的に行動できるAIエージェントの時代に突入しました。AIを活用した開発では、依然として人間が各段階で検証を行うことが前提とされています。しかし、生産性を最大化しようとするあまり検証が軽視され、その結果としてインシデントにつながる事例が増えています。スピードが検証を上回るようになると、リスクも増幅させかねません」

サイバー犯罪者がAIエージェントへの盲目的な信頼に付け込む方法

先頃、Kaspersky GReATのリサーチャーは、AIサービスを装った悪意のある攻撃が2026年に入ってから92,000件確認されたことを明らかにしました。そのうち約半数(49 %)はChatGPTアプリを装ったもので、ClaudeとGeminiはそれぞれ18 %を占めていました。

これらの正規アプリケーションは、AIエージェントを利用する上で欠かせない存在であり、開発環境の出発点となるものでもあります。しかし攻撃者は、まさにこれらのアプリケーションの利用者を標的にするために設計された偽のアプリケーションを配布することで、その信頼に付け込み、攻撃を仕掛けているのです。

さらに、エージェント型AIソフトウェアを装ったマルウェアサンプルも15,000件以上確認されました。これらは、トロイの木馬、スパイウェア、エクスプロイト、ダウンローダー、ドロッパー、バックドアに分類され、いずれも実際の悪意ある機能を備えていました。つまり、こうした偽装アプリケーションを実行しただけで、内部情報を窃取されたり、指令(C2)通信を確立されたりする可能性があるということです。

また、リュウは、AIの活用と開発の影に潜むリスクとして、オープンソースパッケージの問題についても言及しています。

「開発者にとって、オープンソースは不可欠な存在です。そしてAIにとっても、オープンソースは欠かせません。攻撃者もそのことを十分に理解しているからこそ、オープンソースパッケージを標的としたソフトウェアサプライチェーン攻撃は、依然として最も重大な脅威の1つとなっています。複数のオープンソースエコシステム、とりわけnpmやPyPIでは、大規模な侵害が相次いで発生しています。昨年半ば以降、大規模な攻撃キャンペーンが10件は確認されており、そのペースは現在も加速しています。Axiosのような広く利用されているパッケージを狙った攻撃から、Shai-Huludのような自己増殖型ワームに至るまで、こうした攻撃キャンペーンはオープンソースエコシステムの基盤そのものを揺るがし始めています」(リュウ)

2026年3月に発生したAxiosが被害を受けたサプライチェーン攻撃では、サイバー犯罪者が多数の被害者に到達するべく、信頼されたソフトウェアコンポーネントを標的とするケースが増えていることが浮き彫りになりました。Axiosは世界で最も広く使用されているJavaScriptライブラリの1つであり、毎週1億回以上ダウンロードされ、17万を超えるソフトウェアパッケージで使用されています。攻撃者は、同プロジェクトの主要メンテナーのコンピューターを侵害した後、プロジェクトのnpmアカウントへのアクセス権を取得し、悪意のあるコードを組み込んだライブラリを公開しました。

侵害されたパッケージが公開されていた時間はわずか3時間程度でしたが、その間にも数百台のデバイスにダウンロードされました。この事例は、信頼されたオープンソースプロジェクトで発生した1件の侵害が、ソフトウェアサプライチェーン全体へと短期間で波及し得ることを示しています。また、ソフトウェアコンポーネントを検証したり、不審な変更内容を監視したりすることの重要性が改めて浮き彫りになりました。

「当社が昨年実施した調査によると、企業の31 %がサプライチェーン攻撃による影響を受けていました。このことは、オープンソースソフトウェアが企業の開発環境にいかに深く組み込まれているかを示しています。オープンソースエコシステムは企業内部の重要な情報へ侵入するための入り口であるため、今後も攻撃者にとって主要な標的であり続けると考えられます」(リュウ)

生産性を維持しつつ盲目的な信頼を減らすには

生産性は業務効率だけでなく企業の収益性にも直結することから、リュウは、セキュリティを確保しながら生産性も維持するための実践的な方法を紹介しています。まず、外部コンテンツと社内の開発資産との間に、明確な信頼できる開発領域を定義することの必要性を強調しています。そのためには、IDE(統合開発環境)だけでなく、拡張機能やワークスペース、エージェントの権限についても強化する必要があります。

また、ソフトウェアが開発環境へ取り込まれる経路を管理し、あらゆる活動を可視化することの必要性についても指摘しています。その目的は承認プロセスを増やすことではなく、安全な経路を最も簡単で効率的な経路にすることです。

Kasperskyもまた、開発者やITセキュリティ担当者に向けたセキュアな開発環境とワークフローの構築に取り組んでいます。特にKaspersky GReATでは、前述したすべてのオープンソースソフトウェアを監視し、脆弱性のあるコンポーネントや悪意のあるコンポーネントにフラグを設定するフィードを提供しています。

さらに、高度な専門知識を持つKasperskyの調査チームが、セキュアなビルド経路を確保しようとKaspersky Container Securityの機能を利用してGitHub Actionsのワークフローを監査したところ、継続的インテグレーション / 継続的デリバリー(CI/CD)のプロセスにおいて25万件を超える設定不備の可能性が発見され、安全性に問題のある設定が広く採用されていることが浮き彫りになりました。

「セキュリティリサーチャーとして私が強く確信しているのは、セキュリティ対策をソフトウェア開発のより早い段階へ移行するだけでなく、稼働中のシステムを保護することから、ソフトウェアが作られる環境そのものを保護することへと重点を移すべきだということです。なぜなら、実行前に信頼性の検証が行われていれば、組織はスピードを落とすどころか、むしろスピードを上げて前進できるからです。そして何よりも、保護や可視性より、スピードや利益、納期を優先したときに、セキュリティは機能しなくなるのです」(リュウ)

Kasperskyについて

Kasperskyは1997年に設立されたサイバーセキュリティとデジタルプライバシーを専門とするグローバル企業です。「サイバーイミュニティ」というアプローチによって業界に革新をもたらし、これまでに10億台以上のデバイスを保護し、個人、企業、重要インフラ、政府機関をサイバー脅威から守っています。

Kasperskyは「Cybersecurity True to Business」(ビジネスに寄り添うサイバーセキュリティ)を掲げ、明確な成果の提供、収益の保護、業務負荷の軽減、ダウンタイムの防止に注力しています。また、高度な脅威インテリジェンスとセキュリティの専門知識を活かし、中小企業から大企業まであらゆる規模の組織を対象に、実績あるAI駆動型保護技術とシンプルな管理機能、専門的なサポートを組み合わせた革新的なソリューションとサービスを継続的に提供しています。

第三者機関によるテストでも高い評価を受け、何百万人という世界中のユーザーと約20万の組織から信頼されているKasperskyは、脅威の早期検知と迅速な対応を可能にし、より高い信頼性と自由度をもって運用できる環境を提供することで、お客様にとって最も重要なものを守ります。詳細については、www.kaspersky.com をご覧ください。

グローバル調査分析チーム(GReAT)について

2008年に設立されたグローバル調査分析チーム(GReAT)は、Kasperskyの中核をなす業務を担っており、世界各地のAPTやサイバースパイ活動、大規模マルウェア、ランサムウェア、サイバー犯罪者のアンダーグラウンド活動動向を明らかにする活動に取り組んでいます。現在、GReATには世界全体で35人以上のエキスパートが在籍し、欧州、ロシア、ラテンアメリカ、アジア、中東を拠点として活動しています。優秀なセキュリティ専門スタッフがアンチマルウェア研究とイノベーションにおいて当社のリーダーシップを発揮し、比類のない専門知識、情熱、好奇心をもってサイバー脅威の発見と分析に取り組んでいます。

メディア連絡先:
Hao Yung
Chungchung.haoyung@kaspersky.com


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